事業規模により会社組織も選択肢に

設立の手間がいりませんし税制面でもシンプルという、フリーランスには会社組織にはない、さまざまなメリットがあります。
しかし、個人事業としてスタートしてやがて会社化する、いわゆる「法人なり」するフリーランスも珍しくありません。

法人化する理由の一つは、節税効果を期待してのことです。
例えば所得税ひとつとっても、フリーランスは所得が増えるにつれ税率が高くなるのに対し、法人の場合は2段階の一定税率です。
単純に考えると、課税所得が多くなるほど法人のほうが税金が安く済むのです。事業所得が300万から400万といった規模だと、その節税効果もそれほど実感できるレベルではないでしょう。
一般的には、事業所得が1000万円を超えるような事業主になると、法人化するメリットが大きくなってきます。

そして、もう一つの大きな理由が、金融機関や取引先からの「信用力」です。特に大企業は「組織でないと取引しない」というところも多く、個人事業でいる限り、彼らとの取引はできません。結果、大きなビジネスチャンスを逃すこともあるのです。

また、金融機関からの信用も、組織と個人事業では大きな開きがあります。
融資先の数、融資してもらえる額も組織のほうが上です。
個人事業主が融資を受けようと思ったら、都市銀行、地方銀行からはまず相手にしてもらえませんが、会社組織になると、その実績、将来性、事業計画次第では、融資を受けられるようになるのです。